平成18年8月31日
(社)日本環境衛生施設工業会
事 務 局
 環境省の平成19年度概算要求の概要が去る8月29日に明らかになりました。
 その内容については、環境省HPにあります《平成19年度環境省重点施策》で紹介されていますが、あわせて、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部が作成した「平成19年度廃棄物・リサイクル対策関係予算概算要求の概要―〈もったいない〉の心を踏まえた3Rの推進と不法投棄対策―」 (PDF形式:299KB)、廃棄物対策課が作成した「平成19年度一般廃棄物関係予算(案)の概要」(PDF形式:1024KB)が参考になります。
 そのうち当工業会メンバーにとりまして、大いに実現が期待される注目点として、いくつか、触れてみたいと思います。なお、本文は環境省ご当局のチェックは受けておりませんので、内容についての一切の責任は日本環境衛生施設工業会(事務局)にあります。
  I 廃棄物処理施設整備費の増額と制度の充実(循環型社会の形成に向けての交付金制度の充実)
92,051百万円→109,173百万円
   現在の循環型社会交付金制度は平成17年度に創設され、17年度、18年度と地域循環計画の策定とともに同交付金を活用した事業が推進されていますが、19年度の要求においても予算額の増額とあわせていくつかの制度充実事項が含まれています。
   まず、予算額については、18年度の約920億円から約1092億円に増額要求されています。(対前年度比18.3%増)
  制度の充実事項としては、
  ○高効率原燃料回収施設(バイオガス化施設)の推進
   従来の[メタン発酵とメタン発酵廃液処理]である湿式システムとあわせて、[メタン発酵とメタン発酵残渣熱回収]である乾式システムの整備推進が盛り込まれています。
  ○地球温暖化対策のためのエネルギー回収能力の増強
   京都議定書目標達成計画に位置付けられた廃棄物発電・熱利用を着実に拡大するため、既存施設において、エネルギー回収能力を増強させるための増設を交付金対象にする要求になっています。
  ○漂着ごみ対応のための処理施設の増強
   海水を含む漂着ごみを既存の処理施設で円滑に処理するためには塩分除去対策・腐食防止対策などの施設能力増強が必要になっていますがこうした増設工事が交付金対象として要求されています。
  ○地域のバイオマス利用促進
   地域のバイオマス系産業廃棄物を併せて処理する有機性廃棄物リサイクル推進施設の整備を推進するとされており、自治体が地域の環境保全、産業振興の観点から、一般廃棄物とバイオマス系の産廃を合わせて処理する施設の整備を交付金対象として要求されています。
  II 廃棄物処理施設における温暖化対策事業(石油特別会計)
1,505百万円→2,300百万円
   環境省は、地球温暖化対策を「脱温暖化社会構築」というキーワードで推進しています。その一環で、従来から廃棄物処理業者(一般廃棄物処理業者、産業廃棄物処理業者)が行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設、バイオマス利用施設の整備(新設、増設、改造)について補助を行っています。19年度の要求では、こうした内容とあわせて、「バイオマス改質燃料利用施設」や最近提唱されている複数工場で最適化する「ごみ発電ネットワーク事業」、中低温の余熱を車両輸送する「熱輸送システム事業」に対して補助を行うという内容が盛り込まれています。
(補助率1/3または1/2)
III 廃棄物処理等科学研究に対する補助
 
1,300百万円→1,600百万円
   廃棄物の適正処理やリサイクル、循環型社会システムの構築などについて研究者、企業等が行う研究や技術開発を推進する予算です。
 平成19年度は、重点テーマとして、〈バイオマス利活用推進〉〈アスベスト問題解決〉〈漂着ごみ対策〉〈炉解体の低コスト化〉などのテーマがあげられています。
IV 災害廃棄物処理事業費補助金
 
0百万円→100百万円
   従来から補助対象とされている災害廃棄物の処理事業と同様、自治体が実施する漂着ごみ処理事業を新たに補助対象にできるよう要求されています。
 
(補助率1/2)
V その他
   以下のような新規の調査事項が要求されており、今後の廃棄物処理施設整備事業に何らかの影響があるものと思われます。
  ○首都圏震災廃棄物対策費
 
0百万円→11百万円
   首都圏直下型地震に係る廃棄物対策に関して、こうした課題に取り組むべき首都圏自治体に対して地震発生時における輸送体制・処理体制の確保について各種方策をまとめるための経費。
  ○廃棄物処理施設入札・契約適正化システム管理・運営費
 
0百万円→12百万円
   平成18年7月に作成された「適正化の手引き」において必要とされた、契約関連情報を提供するデータベースや自治体に対する専門家の支援体制の構築・運営経費。
  ○バイオマス系廃棄物のリサイクル・エネルギー利用のためのデータベース化・モデルシステム調査
 
0百万円→12百万円
   地域で発生する生ごみ等のバイオマス系廃棄物の量・組成などの発生データと循環システムの需要などについてデータをまとめ、都市・農山村などの地域特性を考慮したモデル循環ループを検討するための経費。
  ○市町村の廃棄物処理事業の3R化に向けた改革調査
 
0百万円→19百万円
   平成18年度に作成される予定の、(1)廃棄物会計基準、(2)有料化ガイドライン、(3)処理システムガイドラインを踏まえて、自治体の廃棄物処理事業を効率性、3R効果、温暖化対策効果などの観点から数値化して評価する「3R化事業評価指標」を設定し、人口・産業などの地域特性が類似する自治体間で比較評価できるようにし、また、同時に、一般廃棄物処理計画策定指針を改訂するための経費。
  ○その他の研究・開発予算
   廃棄物周辺分野での各種の諸研究支援制度が要求されています。例えば、
温暖化対策事業の推進(PDF形式:131KB)および技術開発への支援(PDF形式:66KB)、ナノテク活用の環境汚染回復事業(PDF形式:114KB)が盛り込まれています。
   
   

戻る

Copyright(c) 2001 JEFMA. All rights reserved.