平成22年12月24日に平成23年度予算案が発表されました。
 平成23年度廃棄物・リサイクル対策関係予算(案)の慨要(平成22年12月24日)(PDF形式:267KB)、平成23年度一般廃棄物関係予算(案)の概要(平成22年12月24日)(PDF形式:750KB)
 環境省重点施策(平成22年12月)平成23年度環境省予算(案)事項別表平成23年度環境省予算(案)主要新規事項等の概要(平成22年12月)
 廃棄物処理施設関係予算は約576億円で、前年度予算額に対し約69億円のマイナス、対前年度比では89.3%となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。
 
◇政府原案の概要
 
 平成23年度の予算案は、税収入を前年度の37兆円から少し増加させた約41兆円程度とし、あわせて平成22年度と同水準の約44兆円の国債を発行して約92兆円の歳出総額となっています。その中で、平成23年度の公共事業費については、「元気な日本復活」という方向で事業の効率的な実施と地方主権に配慮した内容となっています。
 具体的には、23年度予算案では、「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費は、予算額全体で約69億円(△10.7%)減の約576億円になっております。その減額分は最近の地方公共団体の厳しい財政状況を反映しての建替え延期や施設の長期稼働傾向を受けた施設整備費の要望減を踏まえての減額となっています。 このため、施設の老朽化が一層進むことが懸念されますが、22年度から新たに追加された基幹改良事業費の活用により施設の延命化対策が進むことが期待されます。
 いずれにしても、今後の循環型社会構築、低炭素社会推進のために必要な施設の整備に不可欠な予算として関係者の十分な活用を期待しています。
 以下、主な事項を紹介します。
 

 
◇施設整備費関連
 
[循環型社会形成推進交付金などの拡充]
 
 平成23年度予算案では、当工業会メンバーにとって関心の大きい「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費については、最近の地方公共団体の厳しい財政状況を受けた廃棄物処理施設の建替えの延期や長期稼働傾向を受けた施設整備費の要望減を反映し、約69億円減の約576億円(89.3%)となっています。そのうち、一般廃棄物処理施設に係る循環交付金は、約56億円減の約466億円(89.2%)となっています。
64,507百万円→57,623百万円
(再掲)循環交付金(一般廃棄物)<他省庁計上分含む。>         
40,146百万円→35,596百万円

 なお、高効率熱回収施設や高度選別施設などの新規事業の交付金メニューへの追加は見送りになっています。
 
◇3R化・低炭素化推進、適正処理確保関連調査
 
[廃棄物処理の3R化・低炭素化改革支援事業]新
0百万円→57百万円
 一般廃棄物における3R化・低炭素化について現状の把握、優良事例の抽出、課題の検討等を行い、市町村における廃棄物処理の更なる3R化・低炭素化を促進するための方策を検討し、制度改正、ガイドライン化、廃棄物処理施設整備計画等への反映を図る。
 
[廃棄物系バイオマス利用推進事業]新
0百万円→46百万円
 バイオマス推進基本法に基づくバイオマス活用推進基本計画において定められる予定のバイオマスの種類毎の利用率等の目標を達成するための具体的な方策について検討し、地域特性に応じた合理的かつ実現可能な廃棄物系バイオマスの大幅な利活用の促進を図る。
 なお、本事業の関連事業として、廃棄物系バイオマス次世代利活用推進事業が昨年度に実施されたところ。
 
[廃棄物処理施設における水銀等排出状況調査]
8百万円→17百万円
 国連環境計画(UNEP)では水銀の排出抑制や輸出入の規制をするための条約の2013年調印を目指すことで合意しており、環境中への水銀の排出量を削減する取組および水銀を含む廃棄物の処理対策の検討が必要である。全国の蛍光灯などの分別・処理状況を調査・整理し、有害物質の適正な管理の観点から、水銀廃棄物の分別収集のあり方やリサイクルシステムを検討する。
 
[海中ごみ等の陸上における処理システムの検討]
18百万円→11百万円
 海中ごみ等について、NPO等の民間団体が清掃・回収した後の合理的な陸上における処理システム(運搬・処理主体、処理方法、費用負担等)の構築を図るため、総合的な検討を行う。22年度から検討開始。
 
[し尿・浄化槽汚泥からのリン回収・利活用推進事業]
50百万円→42百万円
 リン資源のリサイクル推進のため、既存のリン回収型し尿・浄化槽汚泥におけるケーススタディやパイロットプラントによる検証を行い、し尿・浄化槽汚泥からのリン回収に係る現状と課題を把握するとともに、効率的なリン回収・利活用システムの推進を図る。
 
◇エネ特会関連
 
[廃棄物処理施設における温暖化対策事業(エネ特会)]
1,300百万の内数→789百万円の内数
 廃棄物処理業者等が行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設及び高効率なバイオマス利用施設等の整備事業(新設、増設又は改造)について、これに伴う投資の増加費用に対して補助を行う(対象となる施設整備費全体の1/3または1/2を限度)。
 また、地方公共団体または民間事業者が電動式塵芥収集車(パッカー装置を電動化した塵芥車。電動化と併せて車体をハイブリッド化またはCNG化する場合を含む。)を導入際に通常車両との差額に対して補助を行う(補助率1/2)。
 なお、本事業は、昨年の事業仕分けで効果的な事業展開を指摘されたところであり、予算額が圧縮された。
 
◇環境研究開発関連
 
[環境研究総合推進費(循環型社会形成推進研究)]
1,740百万円→2,270百万円円
(総合推進費の全体枠7,007百万円→8,007百万円)
 平成23年度は廃棄物処理・リサイクル産業などの静脈産業による海外展開に資する、途上国でも利用可能な、廃棄物処理・リサイクルシステムにおける熱利用の推進、収集から処分までの温室効果ガスの最小化、低コスト化・高度化などの技術実証を行う「日系静脈産業メジャーの海外展開に資する次世代廃棄物処理技術開発」を新たに実施する。
 なお、平成23年度から循環型社会形成推進科学研究費補助金は環境研究総合推進費と統合された。
 
◇アジア循環型社会構築に向けた取組関連
 
日系静脈産業メジャーの育成海外展開促進事業<特別枠>
0百万円→600百万円
 (環境研究総合推進費の中の静脈産業の海外展開に資する技術開発費530百万円を加算すると、0百万円→1,130百万円)

 急速な経済発展の一方で、廃棄物の適正処理・3Rが進んでいないアジア圏途上国をターゲットとして、政府、自治体、事業者等が相互に連携しながら、廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージ化して海外展開することを支援し、先行企業グループによる我が国静脈産業の海外事業化の実績づくりを進めるとともに、途上国でも利用可能な技術の開発を行う。さらに先行事例に続く、静脈産業の海外展開を進めるため、次世代静脈産業メジャーの育成を支援する。
 
[廃棄物等の越境移動に係る国際的環境問題対策費]
73百万円→66百万円
 廃棄物等の輸出入管理における我が国の国際的責任を果たすため、事業者等に対する国内外規制の周知徹底や不正輸出防止対策の強化などを行うとともに、アジア圏における資源循環の重要性を踏まえた今後の輸入の展開方策の検討を行う。
 
[し尿処理システム国際普及推進事業費]
20百万円→16百万円
 国連ミレニアム開発目標に掲げられた国際的な衛生問題の解決のため、官民連携による展開も視野に入れたし尿処理システムの現地技術化や技術移転の具体化、アジア太平洋地域の衛生分野の国際拠点として発足した日本サニテーションコンソーシアムの活用・支援により、日本のし尿処理システムの普及に向けた一層の取組を展開する。

 (参考)
 公共事業(単位:百万円)
 
平成22年度
予 算 額
平成23年度
予算案額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
 廃棄物処理施設
64,507
57,623
△6,884
89.3
   (内  数)
 
 
 
 
ごみ処理施設等 
40,146
35,596
△4,550
88.7
浄化槽 
12,040
10,969
△1,071
91.1
廃棄物処理センター等 
5,816
1,512
△4,304
26.0
PCB処理施設 
6,400
9,400
3,000
146.9
廃棄物処理施設 
災害復旧補助金 
0
50
50
廃棄物処理施設 
整備事業調査諸費 
105
96
△9
91.4

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