平成21年12月25日に平成22年度予算案が発表されました。
平成22年度廃棄物・リサイクル対策関係予算(案)の慨要(平成21年12月25日)(PDF形式:369KB)、平成22年度一般廃棄物関係予算(案)の概要(平成21年12月25日)(PDF形式:1110KB)
 環境省重点施策(平成21年12月)平成22年度環境省予算(案)事項別表平成22年度環境省予算(案)主要新規事項等の概要(平成21年12月)
 廃棄物処理施設関係予算は約645億円で、前年度予算額に対し約160億円のマイナス、対前年度比では80%となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。
 
◇政府原案の概要
 
 平成22年度の予算案は、厳しい経済状況見通しから歳入を約37兆円程度とし、あわせて約44兆円の国債を発行して約92兆円の歳出総額となっています。その中で、平成22年度の公共事業費については、「コンクリートから人へ」という新政権の方針により引き続き削減されています。
 こうした中、22年度予算案では、「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費は、予算額全体で約160億円(△20%)減の約645億円になっております。その減額分は最近の地方公共団体の厳しい財政状況を反映しての建替え延期や施設の長期稼働傾向を受けた施設整備費の要望減を踏まえての減額となっています。 このため、施設の老朽化が一層進むことが懸念されますが、22年度から新たに基幹改良事業費が交付金の対象になっています。
 今後の循環型社会構築のために必要な施設の整備に不可欠な予算として関係者の十分な活用を期待しています。
 以下、主な事項を紹介します。
 

 
◇施設整備費関連
 
[循環型社会形成推進交付金などの拡充]
 
 平成22年度予算案では、当工業会メンバーにとって関心の大きい「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費については、最近の地方公共団体の厳しい財政状況を受けた廃棄物処理施設の建替えの延期や長期稼働傾向を受けた施設整備費の要望減を反映し、約160億円減の約645億円(80.0%)となっています。そのうち、一般廃棄物処理施設に係る循環交付金は、約56億円減の約401億円(87.73%)となっています。
 また、22年度の交付金事業では、温暖化対策に留意した基幹的設備改良事業など、以下の事業が新たな交付対象になっています。
80,588百万円→64,507百万円
(再掲)循環交付金(一般廃棄物)<他省庁計上分含む。>         
45,802百万円→40,146百万円
(拡充された事項)
○廃棄物処理施設の基幹的設備改良に対する支援
 一般廃棄物処理施設の基幹的設備の改良により、施設の長寿命化及び温暖化対策を推進する市町村等に対して、事業費の1/3を交付する。
 また、高効率な発電設備の整備等により、更なる温暖化対策を推進する市町村等に対して事業費の1/2を交付する。
 ※参考
  その場合の具体的な交付率の基準は、廃棄物対策課のPR資料(添付図)にありますが、
   ・基幹改良によるCO2削減率が3%以上の場合に1/3
   ・基幹改良によるCO2削減率が20%以上の場合に1/2
  とされています。
○漂流・漂着ごみ処理に係る施設の整備に対する支援
 木、プラスチック等の素材、木片から丸太に至るなど大きさも様々で塩分も付着しているといった特殊性のある漂流・漂着ごみについて、市町村等が円滑に処理できるようにストックヤード、破砕切断施設、除塩施設等の処理施設の整備を実施市町村等に対して、事業費の1/3(離島1/2)を交付する。
 
[廃棄物系バイオマス次世代利活用推進事業]
334百万円→105百万円
 各種廃棄物系バイオマスの再生利用手法について、分別方法、収集運搬を含むモデル実証を行い、排出から再生、製品の利用に至るまでのシステム全体を多角的に評価した上で、合理的かつ実現可能なバイオマス利活用パターンを提示し、地域特性に応じた合理的かつ実現可能な廃棄物系バイオマスの大幅な利活用の促進を図る。
 
[廃棄物処理施設における温暖化対策事業(エネ特会)]
2,167百万→1,300百万円の内数
 廃棄物処理業者等が行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設及び高効率なバイオマス利用施設等の整備事業(新設、増設又は改造)について、これに伴う投資の増加費用に対して補助を行う(補助率1/2)。
 また、廃棄物焼却施設から発生する中低温域の余熱を熱導管によらず車両で需要側の施設に輸送する「熱輸送システム事業」に対しても補助を行う(補助率1/2)。
[廃棄物処理システムにおける温室効果ガス排出抑制対策推進事業(エネ特会)]
50百万円→29百万円
 廃棄物分野において、温室効果ガス排出抑制対策について検討・実証するとともに、その成果を普及することにより、京都議定書目標達成計画における数値目標の達成に貢献すべく、廃棄物処理プロセスにおける温室効果ガス排出実態の調査、温室効果ガスの追加的な削減方策のケーススタディ、抜本的な削減方策についてモデル実証の実施・課題の抽出等、実証結果を踏まえた廃棄物処理施設における温暖化対策事業でのメニュー化・普及事業等を行う。
 
[海中ごみ等の陸上における処理システムの検討]
0百万円→18百万円
 海中ごみ等について、NPO等の民間団体が清掃・回収した後の合理的な陸上における処理システム(運搬・処理主体、処理方法、費用負担等)の構築を図るため、総合的な検討を行う。
 
◇研究開発関連
 
[循環型社会形成推進科学研究費補助金:競争的資金:]
1,803百万円→1,738百万円
 2050年までの温室効果ガス半減の実現に向けて、3R技術やバイオマス利活用についての研究・技術開発を一層推進するとともに、戦略的に推進すべき革新的技術とされている廃棄物分野における「レアメタル回収技術」について積極的に推進していく。また、「3R推進に係る研究」「廃棄物系バイオマス利活用研究」「循環型社会構築を目指した社会科学的複合研究」「アスベスト等有害廃棄物管理技術に係る研究」「漂流・漂着ごみ問題解決に係る研究」を重点テーマに設定し、政策的に重要なテーマ、実用化ニーズの高い重要な技術について、効果的・効率的に研究・技術開発を促進する。
 平成22年度は、新たに「地域連携型研究枠」を設け、地方公共団体環境試験研究機関の研究者等を対象に、地域の独自性・特性を活かした、行政施策と連携した研究課題について、優先的に採択を行う。
[地球温暖化対策技術開発等事業の一部(循環資源由来エネルギー利用技術実用化開発)(エネ特会):競争的資金:]
3,805百万円の内数→5,022百万円の内数
 基盤的な温暖化対策技術開発の中で、重点的に取り組むテーマのひとつとして、循環資源由来エネルギーによる高効率発電技術等の実用化に係る技術開発・実証を行う事業者に対して、補助を行う(補助率:1/2)。
 
◇3R強化関連
 従来から、3R社会構築のため、各種の政策予算が計上されているが、その概要は以下のとおり。
 
[使用済電気電子機器の有害物質適正処理及びレアメタルリサイクル推進事業費]
100百万円→100百万円
 使用済小型家電のリサイクルシステムの在り方を検討するため、回収に係るコストや手間等の把握、使用済小型家電中の有害物質によるリスク把握、レアメタル回収可能性の検討等をモデル事業を通じて実施することにより、制度化へ向けての最終取りまとめを行う。
 
[し尿・浄化槽汚泥からのリン回収・利活用推進事業]
0百万円→50百万円
 リン資源のリサイクル推進のため、既存のリン回収型し尿・浄化槽汚泥におけるケーススタディやパイロットプラントによる検証を行い、し尿・浄化槽汚泥からのリン回収に係る現状と課題を把握するとともに、効率的なリン回収・利活用システムの推進を図る。
 
◇アジア循環型社会構築に向けた取組み関連
 
[廃棄物等の越境移動に係る国際的環境問題対策費]
77百万円→77百万円
 アジア地域諸国等における廃棄物等に係る国内法規制や流通・処理実態について把握するとともに、国内での事業者等に対する広報活動や規制対象廃棄物の明確化を行う。また、不法輸出入防止国際ネットワーク事業の一環として、アジア各国のバーゼル条約担当者等を対象とした国際ワークショップの対象範囲を拡大し、各国の税関職員及び関係国際機関等との対話促進や訓練強化等の活動を行うとともに、アジアにおける循環資源の適正管理方策の検討を行う。
 
[し尿処理システム国際普及推進事業費]
21百万円→20百万円
 し尿処理施設や浄化槽等の日本発の優れた技術と経験を活かして国際的な衛生問題の解決に貢献していくため、し尿処理システムに関する国際ネットワークづくりを進めるとともに、その現地技術化や人材育成に向けた国内体制の充実を図る。
 
◇産業廃棄物関連
 
[移動式廃棄物処理施設に係る基準設定検討事業]
0百万円→21百万円
 移動式処理施設に係る技術上の基準等の設定に向け、検討を行う。
 
[処理困難なPCB廃棄物の適正処理モデル事業]
0百万円→50百万円
 処理困難なPCB廃棄物の実態把握及び処理技術等に関する調査を行うとともに、モデル事業を実施し、処理に必要となる手順や処理に当たっての課題等をとりまとめる。また、これらを踏まえつつ、処理困難なPCB廃棄物の安全かつ確実な処理に必要な取組をとりまとめる。

 (参考)
 公共事業(単位:百万円)
 
平成21年度
予 算 額
平成22年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
 廃棄物処理施設
80,588
64,507
△16,081
80.0
   (内  数)
 
 
 
 
   ごみ処理施設等
57,319
44,862
△12,457
78.2
        浄化槽
14,906
12,040
△2,866
80.8
 産業廃棄物・
 PCB処理施設
8,230
7,500
△730
91.0
 廃棄物処理施設
 整備事業調査諸費
133
105
△28
78.9

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