平成19年12月24日に平成20年度予算案が臨時閣議で決定されました。
平成20年度廃棄物・リサイクル対策関係予算(案)の慨要(平成19年12月25日)(PDF形式:343KB)、平成20年度一般廃棄物関係予算(案)の概要(平成19年12月25日)(PDF形式:679KB)、平成20年度環境省重点施策平成20年度環境省予算(案)事項別表(PDF形式:303KB)、平成20年度環境省予算(案)主要新規事項等の概要
 廃棄物処理施設関係予算は約911億円で、前年度予算額に対し約44億円のマイナス、対前年度比では95.4%となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。
 
[政府原案の概要]
 
 平成20年度の予算案では、歳入が好転し、概ね、約83兆円の予算総額となっています。その中で、平成20年度の公共事業費については、財政健全化、公共事業費抑制の方針により、全部門で約3.1%の減額になっています。
 こうした中、20年度予算案で、「循環型社会形成推進交付金」などの施設整備費関連については、予算額全体では約46億円(△5.5%)のマイナスになっておりますが、その減額の大半はPCB処理施設関連であり、 循環型社会の構築を進める「循環型社会形成推進交付金」を含む一般廃棄物処理施設経費は所要の額(対前年度△3%)が計上されており、今後の循環型社会構築、3Rイニシアチブの推進が図られる予算となっています。
 このような結果が得られましたことは、環境省の関係部局のご労苦はもとより、関係者の皆様のご尽力の賜物であり、深い敬意を表する次第であります。 当工業会としても、優良な施設、信頼できる技術の提供に努めてまいります。
 
[循環型社会形成推進交付金などの拡充]
 
 平成20年度予算案では、当工業会メンバーにとって関心の大きい「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費については、交付金総額が伸び、補助金やPCB処理事業関連の補助金が減少する中で総額は若干の減少となっていますが、施設の有効活用、長寿命化を図ることを推進する観点から交付対象の拡大が以下のとおり実現しています。
84,261百万円→79,649百万円
○既存最終処分場の延命化促進のための最終処分場再生事業の対象追加
 最終処分場の再生事業(廃棄物の減容事業)において、最終処分場の新たな埋立終期まで水処理等が出来るように、関連施設の改修設備を追加する。
○廃棄物処理施設耐震化事業の推進
 廃棄物処理施設について、地震による被害(稼動不能)を抑えるため、特に対震化が必要と認められる施設の補強または改築事業を推進する。
 
[一般廃棄物処理施設におけるストックマネージメント導入手法調査費(公共)]新規
 
 一般廃棄物処理施設における機能診断調査手法及び劣化予測手法を確立することで、施設の効率的な機能保全を図りつつ、施設の長期保全計画やライフサイクルコスト分析に基づいた計画的かつ効率的な資本投資により、施設の性能を満足しつつ延命化を実現して財政負担を軽減するとともに投資額の平準化を図るための調査費として本調査費が新規に計上されています。
0百万円→18百万円
 
[廃棄物系バイオマス次世代利活用推進事業]新規
 
 大都市部、中都市部、農村部等の地域特性に着目しつつ、廃棄物系バイオマスの具体的かつ実践的な再生利用手法を提示するため、各種廃棄物系バイオマスの発生抑制、利活用手法について飼料化、メタン化等数多い選択肢の中から有効なパターンを選び出し、分別方法、収集運搬体制も含め、モデル地区において実証・評価を行う。
0百万円→334百万円
 
[廃棄物処理施設における温暖化対策事業(エネ特会)の推進]
2,117百万→2,117百万円
 
 「脱温暖化社会構築」の一環で、廃棄物処理業者(一般廃棄物処理業者、産業廃棄物処理業者)などが行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設及び高効率なバイオマス利用施設などの整備事業(新設、増設または改造)についての1/3、1/2の補助を実施するものです。
 また、工場単位で行っているごみ発電を複数工場全体で統合管理し、ごみ発電量を最大化・最適化する「ごみ発電ネットワーク事業」と、廃棄物焼却施設から発生する中低温域の余熱を熱導管によらず車両で需要側の施設に輸送する「熱輸送システム事業」に対して、補助を行うものです。
[廃棄物処理システムにおける温室効果ガス排出抑制対策推進事業(エネ特会)]新規
0百万円→50百万円
 京都議定書目標達成計画の第1拘束期間を来年に控え、廃棄物分野において当該計画における数値目標の達成に貢献するため、廃棄物処理プロセスにおけるエネルギー起源CO2の削減に資する対策について、検討・実証を行い、その成果を普及するための新規の予算計上です。
 
[施設整備以外の政策検討・研究支援関連の事項]
 
 上記の公共事業費等以外に、各種の研究開発経費や産業廃棄物関連経費が計上されています。以下がその概要です。
◇研究開発
○廃棄物処理等科学研究に対する補助
1,261百万円→1,135百万円
 2050年までに温室効果ガス半減という目標に向けて「バイオマス特別枠」を設置するとともに、「3R推進に係る研究」、「廃棄物系バイオマス利活用研究」、「循環型社会構築を目指した社会科学的複合研究」、「漂着ごみ・アスベスト廃棄物対策に係る研究」を重点テーマに設定する。
 
○地球温暖化対策技術開発事業における循環資源由来エネルギー利用技術開発事業の追加(エネ特会)新規
3,302百万円→3,710百万円
 従来からの基盤的な温暖化対策技術開発事業の中で、新しく重点的に取り組むテーマの一つとして循環資源由来エネルギーによる高効率発電技術などの実用化に係る技術開発・実証を追加する。
 
◇産業廃棄物関連(一部抜粋)
 
○石綿含有廃棄物適正処理方策検討調査費
15百万円→32百万円
 石綿含有廃棄物に関し、廃棄物の最終処分場の逼迫を踏まえ、埋立処分に代わる有効な処理方策を確立し、人の健康及び生活環境に係る被害を未然に防止する。
 
○産業廃棄物処理業優良化推進事業費
56百万円→50百万円
 優良な処理事業者の育成支援のため、排出事業者も含めた普及啓発講習会や処理事業者の研修・講習を実施する講師の養成を行う。
 
○ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業
90百万円→155百万円
 電子マニフェストの利用割合を平成22年度に50%に拡大することを目指し、説明会やWEB版マニフェストの作成を通じて中小事業者の利用促進を図るとともに、普及拡大と災害に対応できるようにシステムの増強を行う。
 
○その他関連事項
 「日中環境保護協力の強化に関する共同声明」を受けて、低コストな分散型排水処理施設や浄化槽などの水管理技術に係る適用可能モデル事業を行い、現地に合った水環境管理体系を構築するための協力を行う「日中水環境パートナーシップ」経費を水・大気環境局で計上。
(191百万円)

 (参考)
 公共事業(単位:百万円)
 
平成19年度
予 算 額
平成20年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
 廃棄物処理施設
84,527
79,879
△4,648
94.5
   (内  数)
 
 
 
 
   ごみ処理施設等
52,719
51,162
△1,557
97.0
        浄化槽
13,296
13,040
△256
98.1
 産業廃棄物・
 PCB処理施設
18,512
15,677
△2,835
84.7

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