平成18年12月24日に平成19年度予算案が臨時閣議で決定示されました。
(平成19年度廃棄物・リサイクル対策関係予算(案)の慨要(平成18年12月24日)(PDF形式:27KB)、平成19年度一般廃棄物関係予算(案)の概要(平成18年12月24日)(PDF形式:554KB)、平成19年度環境省重点施策平成19年度環境省予算(案)事項別表(PDF形式:761KB)、平成19年度環境省予算(案)主要新規事項等の概要 を参照。)
 廃棄物処理施設関係予算は約845億円で、前年度予算額に対し約78億円のマイナス、対前年度比では91.6%(△8.4%)となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。
 
[政府原案の概要]
 
 平成19年度の予算案では、歳入が好転し、概ね、約82.9兆円の予算総額となっています。その中で、平成19年度の公共事業費については、財政健全化、公共事業費抑制の方針により、全部門で約3.5%の減額になっています。
 こうした中、19年度予算案で、「循環型社会形成推進交付金」などの施設整備費関連については、予算額全体では約78億円のマイナスになっておりますが、循環型社会の構築を進める「循環型社会形成推進交付金」の拡充が措置され、所要の額が計上されており、今後の循環社会構築、3Rイニシアチブの推進の基盤を支える予算が措置されました。
 ここに至るまでには、環境省の関係部局のご労苦はもとより、関係者の皆様のご尽力の賜物であり、深い敬意を表する次第であります。これに応えるべく、当工業会としても、優良な施設、信頼できる技術の提供に努めてまいります。
 
[循環型社会形成推進交付金などの拡充]
 
 平成19年度予算案では、当工業会メンバーにとって関心の大きい「循環型社会形成推進交付金」などの廃棄物処理施設整備費について、制度の拡充が以下のとおり実現しています。
92,051→84,261百万円
○高効率原燃料回収施設(バイオガス化施設)の推進
  従来の[メタン発酵とメタン発酵廃液処理]である湿式システムとあわせて、[メタン発酵とメタン発酵残渣熱回収]である乾式システムが先進的なモデル施設(交付率1/2)として交付の対象となっています。
○地球温暖化対策のためのエネルギー回収能力の増強
 京都議定書目標達成計画に位置付けられた廃棄物発電・熱利用を着実に拡大するため、既存施設において、エネルギー回収能力を増強させるための増設事業が交付の対象となっています。
  例 ・ 既存施設においてボイラー・タービンを増設する事業
     ・ 低空気比燃焼へ返還し熱回収(発電)効率の向上を図る事業 
     ・ 過熱器設置によりボイラー蒸気を高温化し熱回収効率の向上を図る事業
 
[廃棄物処理施設における温暖化対策事業(石油特別会計)の推進]
1,505百万円→2,117百万円
 
 「脱温暖化社会構築」の一環で、従来から廃棄物処理業者(一般廃棄物処理業者、産業廃棄物処理業者)が行う高効率な廃棄物エネルギー利用施設、バイオマス利用施設の整備(新設、増設、改造)についての補助が実施されています。
 また、次の2事業が交付の対象になりました。(補助率1/2)
     ・ 複数工場で最適化する「ごみ発電ネットワーク事業」
     ・ 中低温の余熱を車両輸送する「熱輸送システム事業」
 
[施設整備以外のその他事項]
 
 災害廃棄物処理事業費補助金、各種の政策調査費や適正処理やリサイクル技術の研究、開発を推進するための「廃棄物処理等科学研究費補助金」が計上されています。
○災害廃棄物処理事業費補助金
0百万円→100百万円
 従来から補助対象とされている災害廃棄物の処理事業と同様、自治体が実施する漂着ごみ処理事業を新たに補助対象に含めるとの制度改正を図るものです。(補助率1/2)
○廃棄物処理等科学研究に対する補助
1,300百万円→1,261百万円
 廃棄物の適正処理やリサイクル、循環型社会システムの構築などについて研究者、企業等が行う研究や技術開発を推進する予算です。
 平成19年度は、〈バイオマス利活用推進〉〈アスベスト問題解決〉〈漂着ごみ対策〉〈炉解体の低コスト化〉などのテーマを重点テーマとしています。
○首都圏震災廃棄物対策費
0百万円→7百万円
 首都圏直下型地震に係る廃棄物対策に関して、こうした課題に取り組むべき首都圏自治体に対して地震発生時における輸送体制・処理体制の確保を図る経費です。
○廃棄物処理施設入札・契約適正化システム管理・運営費
0百万円→9百万円
 平成18年7月に作成された「適正化の手引き」において必要とされた、契約関連情報を提供するデータベースや自治体に対する専門家の支援体制の構築・運営経費。
○バイオマス系廃棄物のリサイクル・エネルギー利用のためのデータベース化・モデルシステム調査
0百万円→10百万円
 地域で発生する生ごみ等のバイオマス系廃棄物の量・組成などの発生データと循環システムの需要などについてデータをまとめ、都市・農山村などの地域特性を考慮したモデル循環ループを検討するための経費。
○市町村の廃棄物処理事業の3R化に向けた改革調査
0百万円→15百万円
 平成18年度に作成される予定の、(1)廃棄物会計基準、(2)有料化ガイドライン、(3)処理システムガイドラインを踏まえて、自治体の廃棄物処理事業を効率性、3R効果、温暖化対策効果などの観点から数値化して評価する「3R化事業評価指標」を設定し、人口・産業などの地域特性が類似する自治体間で比較評価できるようにし、また、同時に、一般廃棄物処理計画策定指針を改訂するための経費。

  環境省要求分(単位:百万円) 公共事業
 
平成18年度
予 算 額
平成19年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
 廃棄物処理施設
92,320
84,527
△ 7,793
91.6
   (内  数)
 
 
 
 
 ごみ処理施設等
53,641
52,719
△922
98.3
 浄化槽
13,679
13,296
△383
97.2
 産業廃棄物・
 PCB処理施設
25,000
18,512
△6,488
74.0

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