プラント工事に係るスライド協議の実施事例
一般廃棄物処理施設整備事業 スライド協議における具体的な事例について(令和7年6月更新)
日本国内の様々な建設工事においては、ウクライナ情勢などに伴う現下のインフレーションや円安が進行し、需給アンバランスによる燃料・原材料費の高騰、さらには、働き方改革等による労働単価の上昇など、工事費全般として高騰が続いており、廃棄物処理施設の工事も例外ではなく、大きな影響等を受けています。
インフレ等の物価変動時における廃棄物処理施設等の公共工事では、発注者(自治体)と受注者(プラント会社)の間でスライド条項(公共工事標準請負約款第 26 条)に基づく協議を行い、適正に負担を分担することとなっていますが、廃棄物処理施設建設工事のうち特にプラント工事については、スライド額の算定方法に関する情報が不足していることなどが円滑な協議の妨げになっている例もあります。
当工業会では、令和4年 12 月から、スライド協議における実施事例に関する情報提供を行ってまいりましたが、令和7年3月 27 日 環境省より「廃棄物処理施設建設工事等の入札・契約の手引き(改訂)」が公表され、スライド協議に関する内容も追加されたことを踏まえ、今般、協議の際の関係者の参考としていただくため、スライド協議における具体的な協議の進め方の事例について、新たに情報を追加しましたので、ご活用いただけますと幸いです。
令和7年4月 一般社団法人 日本環境衛生施設工業会
1. 廃棄物処理施設整備におけるプラント工事に係るスライド協議の実施事例(令和7年6月更新)

2.スライド協議の実施事例の概略
- (1)スライド額算定に用いられた指標の適用状況
- スライド額を算定するために用いられた指標の適用状況については、以下のとおりであった。(総数 45 件)
類型及び指標等の区分 | 件数(割合) |
---|---|
A類型:日本銀行国内企業物価指数と公共工事設計労務単価を適用 | 24件(約54%) |
B類型:建設物価及び積算資料と公共工事設計労務単価等を適用 | 9件(約20%) |
C類型:A類型とB類型を併用して適用 | 10件(約22%) |
D類型:A~C以外の「建築費指数」や「デフレーター」等を適用 | 2件(約 4%) |
- (2)適用されたスライド条項(公共工事標準請負約款第 26 条第1~6項)
- 適用されたスライド条項については、以下のとおりであった。

- (3)スライド額の算定に際して、どの時点の物価を変動前の基準とするか(以下、「起算日」と称する。)については、以下のとおりであった。

3.具体的なスライド算定方法等について
プラント工事のスライド算定は、機器費と工事費に分類して行われるが、このうち機器費の算定については、工種・品目に細分化した上で、適切な指標を適用する。その具体例は、以下のとおりである。

4.スライド協議に係る手続きのスケジュール事例について
アンケート事例調査に基づき、事業全体スケジュールの中でスライド協議に係る手続2事例を一般的な表現で模式図化した。


【注】上記の事例は、実際の事務手続きの例を参考として、手続きの流れやポイント等を分かり易くする目的で模式図化したものであり、工業会として特定の事務手続きを推奨する趣旨ではない。