平成16年12月24日に平成17年度予算案が当初閣議決定されました。(平成17年度環境省予算(案)事項別表(平成16年12月)(PDF形式:43KB)平成17年度環境省重点施策(平成16年12月)(PDF形式:118KB)平成17年度廃棄物・リサイクル対策関係予算内示の慨要(平成16年12月21日)(PDF形式:528KB))廃棄物関係予算は1,078億円で、前年度予算額に対し262億円のマイナス、対前年度比では80.5%(△19.5%)となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。

[政府原案策定までの経緯]
 平成17年度予算要求までの経緯としては、すでに経済財政諮問会議の三位一体改革のなかで、平成15年度から「平成16〜18年度の 3年間で 4兆円を目途に廃止・縮減等の改革を行う」という方針が閣議決定により示され、平成16年度予算では約1兆円の国庫補助負担金が削減されました。
 引き続き、平成16年5月に開かれた経済財政諮問会議には、国庫補助負担金改革に関するメモが麻生総務大臣から提出され、その中では廃棄物処理施設整備費も廃止対象とされていました。その後も、小泉首相からの要請を受けて、同年8月には地方6団体から「3兆円の税源移譲を前提とした国庫補助負担金削減リスト」が提出されています。その間、当工業会も、「廃棄物処理施設整備費予算は今後の循環型社会構築には不可欠」という立場で、日本廃棄物団体連合会を中心として関係方面に要望をいたしております。
 平成16年9月以降は、「国と地方の協議の場」が設けられ、税源移譲の考え方、国庫補助負担金のあり方について熱心な議論が総論・各論で展開されましたが、11月26日に政府・与党の合意として「三位一体改革について」という基本方向が取りまとめられています。その詳細は、本ホームページ別掲の「三位一体改革関連」の中で解説しておりますが、「廃棄物処理施設整備費補助金」については、税源移譲対象にはならず、補助金改革を行う一環で従来の補助金制度を廃止し、より柔軟な執行が可能な「循環型社会形成推進交付金」を創設するというものです。
 その考え方の原点は、環境省の小池大臣から平成16年10月26日に提出されたペーパーにも説明されていますし、当工業会としても自民党に対して環境省の提唱する「交付金」の実現方を要望して参りました。 こうした経過、背景を踏まえて、17年度予算では、「循環型社会形成推進交付金」制度が初めてスタートします。予算額全体では約262億円のマイナスになっておりますが、一時は廃止といった事態になると危ぶまれた「廃棄物処理施設整備費補助金」が「循環型社会形成推進交付金」という名前で新しいスタートをきりますことは慶ばしい限りであります。
 ここに至るまでには、環境省の関係部局のご労苦はもとより、補助金を直接受ける市町村団体等に代わって当工業会会員各社がそれぞれ独自のチャネルにより公式・非公式の要請・陳情を行っていただいた成果でもあると推察し、関係者のご尽力に対し深い敬意を表する次第であります。 新しくできた「循環型社会形成推進交付金」の活用を推進する立場から、創設まもない本交付金には従来の補助金と違った問題点も出てくることもあろうかと思いますので、こうした問題点について現場に使いやすい交付金になるよう時機をとらえて関係方面にお願いしてまいりたいと思います。
 他方、三位一体改革そのものは平成18年度にも継続するものであり、今後の動きを大きな関心を持って見守っていくことも必要であります。新しい交付金が効果的な制度になることとあわせて、18年度に向けて変わらぬご支援をお願いいたします。

[循環型社会形成推進交付金の創設(交付率1/3、先進モデル1/2)]
 平成17年度予算案で、当工業会メンバーにとって概算要求時点から注目していた事項としては、廃棄物処理施設整備費補助制度の維持及び補助率のアップがありました。この点については、三位一体改革の論議の中、上記の経過で循環型社会形成推進交付金が創設されています。また、同時に関心が大きかった補助率アップについては、ごみ処理施設について従来の1/4から1/3にアップされました。また、循環型社会の形成をリードする先進的なモデル施設(高効率原燃料回収施設)については、事業費の1/2が交付されることとされています。このほか、継続事業、PCB処理施設整備事業、産業廃棄物処理施設モデル的整備事業等については、一応、従来の補助制度が継続の扱いとなりました。
 なお、循環型社会形成推進交付金の対象施設としては、循環型社会の形成を進めるための幅広い施設を交付対象にするという考え方で、リサイクルセンター、生ごみリサイクル施設、廃棄物原材料化施設、熱回収施設(ごみ発電・熱利用型焼却施設:発電効率または熱回収率10%以上)、浄化槽、汚泥再生処理施設、最終処分場、高効率原燃料回収施設(モデル施設)、施設整備に関する計画支援事業等が予定されています。

[国と地方の協議方式の導入]
 上記の交付金の申請には国と地方の協議が前提とされています。そのため、市町村が国及び都道府県とともに「循環型社会形成推進協議会」を設け、「循環型社会形成推進地域計画」を作成することになっています。同計画には3R推進のための政策目標と目標実現のための政策パッケージが盛り込まれることになり、あわせて交付金の額の算定の基礎になります。
 同時に、事後的に評価するといったプロセスも予定されています。

[汚水処理施設整備交付金]
 浄化槽の整備は、前記の循環型社会形成推進交付金の交付対象とされていますが、あわせて、環境省、国土交通省、農林水産省と共同で推進する排水処理施設整備事業に関する交付金が「汚水処理施設整備交付金」として初めて内閣府に計上されました。これは、地域再生計画(仮称)に基づいて各省所管の汚水処理施設の整備を効率的に行うための交付金です。事業完了後に事後評価を行うこととされています。これまで、別々に執行されていた事業が本交付金により、弾力的に執行されるようになりました。汚泥再生処理施設の計画にも関連する事業であり、注目していく必要があります。





環境省要求分(単位:百万円) 公共事業
 
平成16年度
予 算 額
平成17年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
廃棄物処理施設
134,008
107,847
△ 26,161
80.5
(内  数)
 
 
 
 
79,629
60,080
△ 19,549
75.4
25,659
[18,159]
18,929
△ 6,730
[770]
73.8
[104.2]
P C B
28,720
28,838
118
100.4
[ ]は平成16年度から内閣府に計上している汚水処理施設整備交付金のうち浄化槽整備事業相当分75億円を除いて
計算したもの。
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